特別企画

撮りためた作品をスマホで表示

どこでも写真を取り出せる「ポケドラCloud」とは?

趣味で写真を撮っている方にとって良くあるのが、作品を見せて欲しいと場所を問わず言われること。もちろん、タイミング良くフォトブックやポートフォリオを持っていればいいが、スマートフォンやタブレット端末などに保存できる枚数は限られている。結果として「また今度ね」だったり、「あとでメールで送るね」だったりする。すると目の前で作品に対する感想が聞けないのだ。また、デジタルカメラで撮影した写真をいちいちスマートフォンに転送していないという方も多いだろう。

実は撮りためた作品を外でサッと見せるのは意外と難しい。最近ではフォトストレージサービスやクラウドサービスが数多く登場しているものの、これらにはさまざまな問題がある。そのひとつが、容量とアップロードの問題だ。多くの作品を撮っている写真ファンにとって容量はどれだけあっても足りないもの。なかには、1TB超の大容量を使えるクラウドサービスもあるが、今度は写真をアップロードしたり、入れ替えるのに時間が掛かるという問題がある。その結果、こまめにアップロードするのは最初だけで、結局、最新の作品はアップロードしていないので見せられないということになるのだ。これは有料のクラウドサービスを使っていても同じだ。

ポケドラCloudならローカルで転送してスマホで見られる

そこでおすすめしたいのが、写真をネットワークHDD(NAS)に保存し、それを屋外から見られるようにする方法だ。これなら、写真を編集し終わったあとで保存しておくだけなので、いちいち公開用に保存し直したり、別の場所にアップロードする必要がないのだ。

しかし、これまでネットワークHDDを使った写真の公開や外部からのアクセスはネットワーク側の設定が難しく、非常にハードルが高かった。それを解決したのが、アイ・オー・データ機器のネットワークHDD「ポケドラCloud」だ。

コンパクトな三角形のフォルムを採用したアイ・オー・データ機器の「ポケドラCloud」。正面に当たる部分の下部に動作状態を示すLEDを配置している。
本体背面に有線LAN端子、電源端子、電源ボタンを配置するシンプルな仕様だ。

通常のネットワークHDDでは、外部からアクセスできるようにするためには、ルーターの設定が必要となる。しかし、「ポケドラCloud」ではこの作業が必要ない。本機を家庭内ネットワークに接続したら、接続したいスマートフォンに専用アプリ「Remote Link Files」をインストール。そのアプリを使って、同梱されているQRコードを撮影するだけで、サーバーへの登録が完了。このサーバーが、スマートフォンと「ポケドラCloud」の間を取り持つことで、難しいルーターの設定などを行うことなく、外部からのアクセスが可能となる。

QRコードを読み取るだけでリモート表示が可能に

実際に設定を行ってみたが、その簡単さに驚かされた。LANケーブルを挿して電源を入れるとPCからも「ポケドラCloud」が見えるようになるが、ここでなにか設定する必要はなく、すべての設定はスマートフォンからも行える。

PCからは通常のネットワークHDDと同様に表示されるので、編集の終わった写真などをドラッグ&ドロップで保存することが可能。ただし、共有フォルダを追加するにはスマートフォンアプリから行う。カテゴリー別や日付別など保存する場所だけ最初に決めて作っておけば、あとは普通のフォルダと同様に利用できた。

最初に「ポケドラCloud」にアクセスしたところ。「disk」共有フォルダは標準で用意されている。

画面上部の「リモートUI」ボタンをタップすることで詳細な設定画面に進める。

リモートUI画面で共有フォルダを作成した。外出先からアクセスするためには「リモートアクセス共有」にチェックを付けておく。

早速、「ポケドラCloud」にLandscapek共有フォルダを作成し、各地で撮影した風景写真などをPCから保存してみた。これをスマートフォンから表示してみる。

写真を保存したフォルダを開くとサムネイル付きのリストが表示される。最初はサムネイルの表示に若干時間が掛かるが、一度サムネイルを取得するとそのあとはキャッシュされるのか、素早く表示できた。このサムネイルがあることで、表示したい写真をさっと探せるのが便利だった。

見たい写真を選択したところ。2本指でのピンチ操作で拡大縮小できるほか、スマートフォンを横にすると全画面での表示もできる。

表示したい写真を見つけたらリストをタップすると、写真の取得が始まる。NTTドコモのLTE環境で利用して、4MBほどのJPEG画像を表示するのに、平均して約3、4秒といったイメージ。ダウンロード時は画面にサムネイルを拡大表示するので、意図と違った写真を選んでいた場合はこの時点でキャンセルができる。このあたりは通信環境に影響されるため、一概には言えないが、本画像の表示スピードは有名クラウドサービスと比べても決して遅いとは感じなかった。

そして一度表示した写真はしばらくキャッシュに保存されているため、ほとんど待ち時間なく表示できた。

注意点としては、残念ながらRAW画像の表示には対応しないことだろうか。RAWファイルはそのままでは開けないため、タップするとダウンロードがスタートする。このとき、RAW画像が開けるスマートフォンアプリ「Lightroom mobile」などが入っていれば開くことができる。

もちろん、PCからアクセスすれば内蔵HDDと同様に開けるが、アプリ経由で表示するときはJPEG形式で出力しておく必要がある。

ユーザーごとのアクセス設定が可能

さらに設定画面である「リモートUI」ではユーザーの追加が可能。共有フォルダ単位で追加したユーザーごとに読み取りの許可、読み書きの許可が設定できる。この機能を利用することで、子どもや実家の両親などのスマートフォンに必要なアクセス権を設定できるのだ。

たとえば、実家の両親のスマートフォンからは写真、動画の表示ができ、子どものスマートフォンは写真は見られるけど、動画フォルダは表示できないようにするといった設定ができる。

実際にやってみよう。リモートUI画面の「共有」よりユーザー設定を選び、「新しいユーザーの登録」を選ぶ。ユーザー名とパスワードを入力したら、各共有フォルダの「詳細アクセス権設定」からアクセス権を設定する。

簡単な設定でこのようなユーザーレベルでのアクセス制限ができるのは「ポケドラCloud」の魅力の一つ。編集済みの写真は多くのユーザーからのアクセスを可能としておき、編集前の写真や公開する作品としては落第した惜しい写真などは非公開にしておくといった使い方が可能だ。

このほかにも「ポケドラCloud」の共有機能としてメディアサ-バ-機能がある。これはアクセス設定の画面で「マルチメディア共有」にチェックを付けることで、DLNAプレイヤー機能を搭載したテレビやプレイヤーなどからアクセスが可能となるのだ。

このDLNA機能はポケドラCloudと同一のLAN内のみの機能にはなるが、リビングのテレビなどから、保存した写真を表示したいときなどに便利。また、音楽や動画などもDLNAサーバー機能を利用して配信できる。

PCからのリモートアクセスには、PC版の「Remote Link Files」を使用する。

PC版の「Remote Link Files」の画面。もちろん写真だけでなく好きなファイルをリモートでやりとりできる。

過去写真のアーカイブとして非常に便利!

撮影したてのほやほやの写真はスマートフォンやタブレットにコピーしていたり、SNSにアップするなど、手軽に人に見せることができる。問題はちょっと時間の経った過去の写真だ。

いちいちSNSで探すのも時間が掛かるし、それらをスマートフォンやタブレットに入れて持ち歩くのも非現実的だ。

しかし、「ポケドラCloud」があれば手軽に古い写真にアクセスができる。最近撮ったお気に入りの写真の話から、その写真を撮るきっかけになった古い写真の話になったときなど、スマートフォンやタブレットから素早く「ポケドラCloud」にアクセスして、見せることができるのだ。

もちろん、iOSにも対応しており、iPadからのアクセスも可能。画面の大きさを考えるとタブレットで利用するのが向いている印象だ。

しかも「ポケドラCloud」は導入しやすい容量500GBのモデルから、1TB、2TBまで用意。もちろん、リモートアクセス機能を使う上で、月額コストなども掛からない。

撮影旅行に行った先で出会った方と話が盛り上がったシーンや、写真仲間とカメラ談義で居酒屋に集まったとき、そして子どもを連れて実家に帰ったときなど、「ポケドラCloud」が活躍するシーンは決して少なくない。

気に入った写真を「ポケドラCloud」に保存しておけば、いつでもどこでも、再び見返すことができるのだ。

コヤマタカヒロ