イベントレポート

撮影からプリントまで。「桜」を軸に写真を楽しむセミナーイベント「インプレス桜フォト祭り2024」が開催

各セミナーの概要と講師、展示内容などを紹介

デジカメ Watchの運営社であるインプレスは3月16日(土)、フォトイベント「インプレス桜フォト祭り2024」を3月16日に開催した。本記事ではイベントでの各講師のセミナーと、ブース展示の模様などをお伝えしたい。

「桜の写真」をメインテーマとしたセミナーイベントで、2023年に引き続いて2回目の開催となる。会場は東京・渋谷の日本写真芸術専門学校。

協賛はOMデジタルソリューションズ、H&Y Filters Japan、エプソン販売、銀座十字屋ディリゲント事業部Synology Japan、日本写真芸術専門学校(順不同)。

福田健太郎氏、中西敏貴氏、中原一雄氏、本間昭文氏、安念余志子氏の5名を講師に迎え、協賛企業とコラボレーションする形でセミナーを行なった。

本間昭文氏のセミナーの様子

今年の桜を存分に撮影しよう!最新OM SYSTEMの使いこなしから作品仕上げまで——福田健太郎氏×OMデジタルソリューションズ×

福田健太郎氏

主な内容は、桜を撮影するうえでの心構えや撮影のテクニック、今回撮影に用いた「OM SYSTEM OM-1 Mark II」について。

福田氏によれば、桜をはじめとした自然の風景を撮影するにあたり重要なのは「心の琴線に触れた想いや感情を作品に込める」ことだという。五感を研ぎ澄ませ、場の光や空気を素直に受け止め、気負うのではなくリラックスして被写体に向き合う姿勢が大切だと話した。

「OM SYSTEM OM-1 Mark II」は2月23日(金・祝)に発売された新製品。特徴的なポイントとして最大8.5段分の強力な手ブレ補正や防塵防滴性能を挙げつつ、特に風景写真においては、動きを表現する際にコンピュテーショナルフォトグラフィー機能の「ライブGND」が活躍すると評価した。

桜の撮影はタイミングも重要
「ライブGND」「ライブND」の活用で、カメラ内でのフィルターワークが楽しめるようになった

安心して撮影に集中できる!記録メディアの活用ガイド&心に残る桜の撮影術——中西敏貴氏×Angelbird

中西敏貴氏

銀座十字屋ディリゲント事業部が扱うメモリーカードブランド「Angelbird」を紹介したのが中西敏貴氏。登壇した中西氏は、メモリーカードに強く求める性能として「信頼性」を挙げた。自身も北海道・美瑛に在住し、酷寒の土地や高山の風景を撮影のフィールドとしている同氏としては、厳しい環境でも「存在を意識しなくていいくらい安定していること」が重要だという。

このほかAngelbirdのメモリーカードについては、ユーザー登録で受けられる3年間の修理サポートに言及。メモリーカードが物理的に壊れても可能な限り復旧するという、同社の方針を紹介した。

厳しい環境での撮影にはメモリーカードの信頼性が重要
日頃から身の回りをよく観察することで、近所のなんでもない場所でも自分だけの作品が撮れるスポットになる可能性があるという

プロ写真家がおすすめする安全、快適な写真管理術!NASで写真はもっと楽しくなる——中原一雄氏×Synology Japan

中原一雄氏

写真や動画のストレージとして、NASを使うメリットやおすすめの運用法を解説したのが中原一雄氏。2009年にデジタルカメラを購入したときから現在に至るまでの写真、50万枚ほどをすべてNASに保存しているといい、自身がデジタルカメラで初めて撮影した桜の写真も披露。写真を取り込む際、日常的にタグをつけておくことで検索性が良くなるだけでなく、撮影記録や自身の成長を振り返る際にも便利だという。

NASの運用については、HDD故障時の対応が簡単という点で4ベイのモデルがおすすめだとした。

中原氏は過去に撮影したデータをすべてNASに保存している。この日はカメラを手にして初めて撮影した桜を披露した
Synology製のNASはOSやアプリも優秀と評価

ドラマチックな桜の撮影術&高画質プリントで存分に桜を楽しむ——本間昭文氏×エプソン販売

本間昭文氏

本間昭文氏が解説したのは、桜の撮影と現像・レタッチのテクニック。加えて、プリント時の用紙選びについても紹介した。

また開花情報の把握や撮影に赴く時間帯、構図に入れる内容の取捨選択など、ロケハンの重要性を撮影時のエピソードとともに語った。

プリントに関してはA3ノビ対応プリンター「SC-PX1V」で使用できるファインアート紙を紹介。それぞれのプリント用紙でプリントに仕上げた作品を持参し、用紙選びの方向性を説明していた。

桜の時期は短い。現地の天候や見頃などは必ずチェックしてほしいと話した
プレゼンで提示した作品。一部は会場内の写真展でも展示していた

桜の写真をランクアップ!プロ写真家が伝授するフィルターテクニック——安念余志子氏×H&Y Filters Japan

安念余志子氏

安念余志子氏は、H&Y角型フィルターシステムの製品を装着して撮影した作例を中心に、撮影テクニックを解説した。

GNDフィルターやCPLフィルター、ミストフィルターの作例を示して撮影時の状況を説明したほか、写真の周辺にぼかしを作る方法として、角型フィルターにエアクッション(プチプチ)を丸く切り抜いて貼り付ける「自作ビネッター」を紹介した。

H&Yのフィルターと自作のビネッターを組み合わせて撮影した作例を披露
セミナー後、ブースに現物を確認しにくる来場者も多かった

会場では写真展も

会場では写真展も開催。来場者の多くが美麗なプリント作品を鑑賞していた。

本間昭文氏の写真展「光に包まれて」では、桜の写真をはじめ、SC-PX1Vなどでプリントした風景写真作品10点を展示。セミナーで紹介した作品を中心に、ハーネミューレやアワガミといったファインアート紙の実力をみる良いきっかけになったのではないだろうか。

本間昭文氏の写真展「光に包まれて」。ファインアート紙による桜の写真をはじめ10点の作品を展示
本間氏が在廊してプリント用紙について語るタイミングもあった

「H&Yフィルターで描く 極上の風景写真展」では、井上嘉代子氏、喜多規子氏、萩原れいこ氏、清家道子氏、関一也氏をはじめとした写真家の作品を15点展示。こちらは現在ソニーストアのギャラリーを巡回中であり、直近ではソニーストア名古屋で展示する予定だ。

「H&Yフィルターで描く 極上の風景写真展」。作品のキャプションには使用したフィルターも記載していた
新製品Cinematic CPLフィルターの監修に携わった関一也氏の作品も展示していた

各社が新製品などを展示

OMデジタルソリューションズのブースでは、福田氏が紹介した「OM-1 Mark II」を展示。1月に発売した「M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS」をはじめ、いくつかの交換レンズも試用できた。

OM-1 Mark II。メーカーのスタッフと話しながらカメラの実機を試せるブースということで特に人気があった
作例のプリント見本

H&Y Filters Japanは製品展示に加えて、現地での即売を実施。可変式ステップリング「REVORING」のほか、マグネット式フィルターシステムに関する製品などを割引して販売していた。

H&Yブースではフィルターや書籍の割引販売を実施
複数口径のレンズに装着可能な可変式ステップリング「REVORING」
使い方を尋ねる来場者も見かけた

Synology Japanでは4ベイのNAS「DS923+」や、2月1日(木)発売のパーソナルクラウド製品「BeeStation」を展示。

特にBeeStationに関しては、難しい設定がなく手軽に使える「パーソナルクラウドストレージ」として紹介しており、運用の具体例などを尋ねる参加者も見られた。

Synologyではイベントに合わせて実施した期間限定のセールなどを告知
中原氏もセミナーでおすすめしていた4ベイモデル「DS923+」
パーソナルクラウドストレージとして売り出している「BeeStation」

日本写真芸術専門学校は、学科案内や卒業作品集などのパンフレット展示をしていた。とりわけ2年制学科の「フォトコミュニケーション科」は、「フォトドキュメンタリー」や「コマーシャルフォト」などのセミナーを用意するほか週3回の授業など、社会人やシニア層も学びやすいカリキュラムとしてアピールしていた。

日本写真芸術専門学校はパンフレット展示を実施
3~6月にはオープンキャンパスも開催予定となっている
関根慎一