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第38回世界の中古カメラ市に「オリンピアゾナー」など珍品が並ぶ

ライカ、コンタックス、ミノルタ、トプコン、コムラ、フォカ、ニッカetc. 往年の名品が多数

「第38回世界の中古カメラ市」は2月22日(月)まで東京・松屋銀座8階イベントスクエアで開催される。入場は無料。営業時間は10時~20時。最終日は17時30分閉場

東京・松屋銀座8階イベントスクエアにて2月22日(月曜日)まで「第38回世界の中古カメラ市」が開催されている(入場無料)。ここでは初日である2月17日(水曜日)の会場の様子をお伝えするとともに、筆者がピックアップしたカメラや交換レンズなどを紹介していきたい。

この中古カメラ市は、I.C.S.(Imported Camera Society=輸入カメラ協会)が主催するもので、中古のカメラや交換レンズなど即売するフェアである。ちなみにI.C.S.は、都内を中心に有名カメラショップが多数加盟する協会。年3回中古のカメラ市を開催しており、今回は2016年第一回目となる。同協会に加盟する17店のカメラショップのほか、協賛3店の合計20店が出店している。

初日午前中の会場の様子は、平日とは思えないほどの賑やかさ。カメラ愛好家が1つ1つ丹念にショーケースを覗く姿や、商品を直接手に取ってショップ店員と熱く商談する姿など多数見受けられた。

ICSに加盟する17店のカメラショップのほか、協賛3店の合計20店が中古カメラ市に出店している

【注意】掲載した商品は、取材時のものです。すでに完売や予約済みになっている場合があることをご承知置きください。

レンズ

Carl Zeiss Sonnar 180mm F2.8
いわゆるオリンピア・ゾナーである。1939年開催のベルリンオリンピック記録用として登場したレンズを始祖とする。ノブフォーカスが特徴的だ。(千曲商会)
Carl Zeiss Tout 32mm F1.8
富士フイルムXマウントを採用するカールツァイスの単焦点レンズ。同カメラに装着したときは約48mm相当の使いやすい標準レンズとなる。現行品。(冨士越カメラ)
SIGMA XQ135mm F1.8
シグマが欧米向けとして1976年から1980年まで製造した大口径望遠レンズ。レンズ構成は5群6枚でフィルター径は77mm。FDマウント。(アルプス堂)
Fish-Eye Nikkor 6.2mm F5.6 230度SAP
SAPとは等立対角射影のこと。本レンズは、一説によると3本しかつくられなかったとのことだが、掲載するアイテムはまぎれもないその1本だ。それにしてもこの価格!(早田カメラ)
MINOLTA G-ROKKOR 28mm F3.5
1998年に2000本限定で発売されたミノルタのLマウントレンズ。同社の高級コンパクトTC-1に搭載されたレンズと同じ光学設計を採用する。(新橋イチカメラ)
KOMURA 135mm F2
コムラの焦点距離135mmの交換レンズといえば、開放F2.8のものをよく見かけるが、本レンズはF2とするレアな1本。開放値での描写がたいへん気になる。(ペンギンカメラ)
PENTAX Auto-Takumar 35mm F2.3
オートタクマーシリーズは、アサヒペンタックスK(1958年)に対応する交換レンズとして登場。本レンズは同シリーズ中もっとも画角の広いものである。(ペンギンカメラ)
FUJI EBC FUJINON.SF 85mm F4
いわゆるレンコン絞りにより軟焦点の度合いを調整するタイプのソフトフォーカスレンズだ。絞りF4からF8までその効果が楽しめる。(ペンギンカメラ)
AUTO-ADOMIRAL 135mm F1.8+PENTAX S2(Super-Takumar 55mm F2付)
その鏡筒の太さにたいへん驚かされるアドミラルブランドの交換レンズ。詳細は不明だが、主にヨーロッパで発売されたようである。M42マウントを採用。日本製。(アルプス堂)
Carl Zeiss Planar T* 135mm F3.5
プラナーの名を冠した大判用カールツァイスレンズ。光学系は5群5枚とし、コンパー#1シャッターを採用する。イメージサークルは170mm。(千曲商会)
ASAHI-PENTAX Ultra-Achromatic-Takumar 85mm F4.5
赤外線・紫外線撮影レンズで、5群5枚のレンズ構成の内訳は人工結晶蛍石3枚、熔融石英2枚とする。専用のフィルターを装着すると自動的にピントの補正を行う。(フォトベルゼ)
TOPCON RE Topcor 85mm F1.8
エキザクタマウントの単焦点レンズ。トプコンといえば白鏡筒が一般的だが、本レンズは黒鏡筒しか存在しない。生産本数が1,000本に満たないのも本レンズの特徴。(フォトベルゼ)
TOPCON RE Topcor 20mm F4
フードの形状が特徴的なトプコンの超広角単焦点レンズ。焦点距離的にマイクロフォーサーズやAPS-Cサイズのミラーレスとも相性がよさそうだ。(フォトベルゼ)
CONTAX Aposonnar 200mm F2
銘玉として未だ高い人気を誇るアポゾナー。そのキレのよい描写はデジタルとなった現代でも十分通用するものだ。写真のアイテムにはアルミケースが付属。(アカサカカメラ)
Leica Stemar 3.3cm F3.5
ステマーは、1954年に発売が開始されたステレオ撮影用レンズキット。カナダライツで製造された。写真のアイテムには撮影した写真を鑑賞するビュアーも付属する。(スキヤカメラ)
Leica XENON 50mm F1.5
1936年にライカ用としてシュナイダーが生産したLマウントレンズである。ノンコートの大口径レンズなので、独特の描写が楽しめそうだ。(スキヤカメラ)
F-Distagon CFi 30mm F3.5
レンズシャッターのハッセルボディにもフォーカルプレーンシャッターのハッセルボディにも使えるフィッシュアイレンズ。グッと突き出た前玉が迫力。(秀光)
Nikon Stereo-NIKKOR 3.5cm F3.5
ニコンSマウントのステレオ撮影用レンズキットだ。製造は1957年といわれ、製造台数および販売台数とも極めて少ない。こちらも貴重なレンズ。(スキヤカメラ)

カメラ

Nikon F3-H(ハイスピード)
1996年にプレス用として関係者のみに発売したハイスピードカメラ。13コマ/秒を実現するために、ハーフミラーを使用し常時絞り込みとしている。(秀光)
Leica Digital-Module R
イメージセンサーのサイズ26.4×17.6mm、画素数約1,000万のデジタルモジュール。R8もしくはR9に装着して使用する。写真のモジュールにはR8が付属。(冨士越カメラ)
Leica IIIc K
ボディカラーをグレーとしたIIIcの初期モデル。Kの称号は、シャッターのテンションドラム軸などにボールベアリングを採用している証し。(新橋イチカメラ)
Compass
スイス製らしく高級時計のような精密なつくりが特徴のCompass。小型三脚やフィルムホルダー、レリーズなどがセットになって美しい木箱に収まる。(早田カメラ)
FOCA Universel
28mm、35mm、50mm、90mm、135mmの交換レンズ一式とユニバーサルファインダーを専用のバッグにセットした逸品。撮影が楽しそうに思える。(早田カメラ)
NICCA IIIL
1958年に発売されたニッカ銘最後のレンジファインダー機。黒いファインダーカバーがカメラのアクセントになっている。シャッター音も心地よい。(アカサカカメラ)

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I.C.S.代表で株式会社秀光社長の高井さんに、今回の中古カメラ市の様子をうかがったところ、「例年どおりオープンから多くのカメラ愛好家が訪れている」とのこと。中古カメラ市といえば、恒例の初日早朝の行列だが、デパート開店前の朝9時過ぎには150人近い行列となったという。

「開店時間よりも10分早い9時50分に会場はオープンした」と高井さんは話す。筆者がこの取材のためにカメラや交換レンズの撮影を始めた午後となって、客の入りは比較的落ち着つきはじめたが、それでもカメラ愛好家で会場はたいへんな賑わい。また、日本語以外も多数飛び交っている。「相変わらず海外からのバイヤーやカメラ愛好家も多い。中国や欧米のほか韓国、東南アジアなどからも来ている」という。

会場にはいつも以上に引伸し機が多く見られた。特にライツフォコマートは人気で来場者の注目を集めていた。(銀一COCO)

このイベントでは毎回特別企画と称する特設コーナーを設けているが、今回も多彩だ。

まず価格帯別コーナーとして「1万円均一」、「2万円均一」、「3万円均一」を会場入り口で行っている。同時にその横では、三脚やカメラバッグなどの大物アクセサリーの展示販売も行っているので興味ある向きは訪れてみるとよいだろう。

さらに20日(土曜日)には理由ありセールとして掘り出し物を各店ブースで、最終日の22日(月曜日)には感謝セールとして同じく各店ブースで販売を予定している。また、各ショップの常連向けとして、18日(木)から21日(日)の間に本イベント案内ハガキを持参した人に買い物券の当たる抽選会も実施する。実に盛りだくさんの中古市なのである。

中古カメラは一期一会だ。出会ったときに即手に入れるつもりでいないと、次いつ出会えるかまったく保証の限りではない。この週末、そんな出会いを求め会場に足を運んでみるのはどうだろうか。これまで欲しかったカメラや交換レンズと出会える可能性は高い。

(大浦タケシ)