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5,140万画素CMOSセンサーの中判デジタルカメラ「PENTAX 645Z」

ライブビュー対応。最高感度はISO204800

 リコーイメージングは、中判デジタルカメラ「PENTAX 645Z」を6月末に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は税別80万円前後の見込み。

 2010年6月に発売した「PENTAX 645D」をベースにした上位モデル。新型センサーの採用を始め、内容を一新した。645Dは当面併売する。機種名の“Z”は645シリーズの究極を意味するという。

 同社がCP+2014において、「PENTAX 645D 2014(仮称)」として参考出品したカメラを製品化したもの。なお、4月2日から同社Webサイトに掲載されている体験イベントの告知は、645Zのイベントとなる。

 これまで通りハイアマチュアをターゲットにしているが、645Dが業務向けとして需要が拡大したことから新たに商業写真などのプロカメラマンもターゲットとする。同クラスのセンサーを搭載した中判デジタルカメラとしては比較的安価な点も訴求する。

 645Zは645Dとほぼ同じデザインのボディを採用。外観で大きく目立つ違いはチルト式液晶モニターとペンタ部のPENTAXロゴのパーツとなる。レンズマウントは645AF2。

 ボディのシャーシはアルミダイキャスト、外装はマグネシウム製。76カ所をシーリングし、引き続き防塵防滴構造とした。-10度での動作も保証する。

 撮像素子は従来の約4,000万画素CCDから、新開発の有効約5,140万画素CMOSセンサーになった。撮像素子面積は従来とほぼ同じ43.8×32.8mmで、35mmフルサイズセンサーの1.7倍の面積という。引き続き光学ローパスフィルターレスとなる。センサーはソニー製。

 最高感度はISO204800。645Dは常用ISO1000、拡張時ISO1600だった。

 手ブレ補正はレンズシフト式。手ブレ補正機構を備えたレンズとして、「HD PENTAX-D FA645 MACRO 90mmF2.8ED AW SR」が発売されている。

 CMOSセンサーを採用したことで新たにライブビューと動画撮影が可能になった。

 動画は最高1,920×1,080ピクセル、60iのMOV(H.264)形式で記録できる。本体にステレオマイクを備えるほか、マイク端子も装備する。録音レベルは調整可能。動画撮影のできる中判デジタルカメラは初だという。K-3と同じく4Kインターバル動画も撮影可能(AVI記録)。

smc PENTAX-D FA645 55mmF2.8 AL[IF]SDM AWを装着したところ
チルト式液晶モニターを採用

 画像処理エンジン、AFモジュール、ユーザーインターフェースなどはAPS-Cデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-3」とほぼ共通。

 画像処理エンジンは「PRIME III」で、645D比で最大約5倍の処理速度という。連写速度は645Dの約1.1コマ/秒から約3コマ/秒にアップした。連続記録コマ数は3コマ/秒時が30コマ(JPEG)および10コマ(RAW)、1コマ/秒時が300コマ(JEPG)および25コマ(RAW)。

 絞り込みによる回折ボケを画像処理で低減する機能も備える。

 測光センサーは従来の77分割センサーから約8.6万画素RGB測光センサーになった。測光センサーのデータをAE、AF(被写体検知、動体追尾)、AWB、画像処理の最適化に活用する「ペンタックス リアルタイムシーン解析システム」をK-3に引き続き搭載した。

 AFモジュールもK-3と同じSAFOX 11となった。-3EVの低輝度やF2.8光束に対応する(中央とその上下の3点)。測距点は27点(うちクロス25点)。

 ファインダーは視野率約98%、倍率約0.62倍(55mm F2.8・∞)。アイレリーフは約21mm(見口枠から)、約24.1mm(レンズ中心から)。フォーカシングスクリーンは交換式。

 シャッター速度は1/4,000秒~30秒とバルブ。シャッター耐久は10万回。645Dは同5万回だった。

 プロ向けの機能として、キー操作ロックやTIFF保存にも対応した。加えて、ライブビュー時に正方グリッドを表示できるようにした。異なる被写体を同じ位置で撮影する用途などに向ける。また、複写台での使用を考慮し、画像を180度回転させて記録(EXIF情報のみ)することもできる。

 液晶モニターは約104万ドットの3.2型で、上下チルト式を採用した。ペンタックスのデジタル一眼レフカメラでチルト式は初めて。

 記録メディアはSDXC/SDHC/SDメモリーカード。デュアルスロットで、UHS-Iに対応する。K-3同様、スマートフォンなどとWi-Fi通信ができるオプションのカード「FLUCARD FOR PENTAX 16GB O-FC1」に対応する。カメラの遠隔操作やリモートレリーズが可能となる。

デュアルスロットを搭載する

 USB 3.0端子も備える。

 バッテリーは645DやK-3と同じ「D-LI90P」。撮影可能枚数は約650枚。

 外形寸法は約156×117×123mm、重量は約1,470g(本体のみ)、約1,550g(バッテリーと記録メディア1枚を含む)。

 同梱ソフトは新たに「Digital Camera Utility 5」になる。動作レスポンスの向上、64bit対応、ファインシャープネス対応、動画再生機能、レンズ収差補正の自動化、Retinaディスプレイ対応などを盛り込んだ。

(本誌:武石修)